広東省民政庁によれば、2017 年末時点で省内の 60 歳以上の戸籍人口は 1,367 万人、高齢化率は 14.7%であった。同省での高齢化が進む中、今後の高齢者関連産業の方向性等を明確化するため、2019 年 1 月 1 日から広東省養老サービス条例が施行された。
同条例では介護施設の計画や建設、在宅
・社区
・施設における介護サービス、「医養結合」、介護人材に対する支援、監督管理、法的責任などを明確にしている。また、民間資本による当該分野への参入を奨励していく方針が示されている。
同条例について、広東省養老服務業協会総合部の林丹純部長はジェトロ広州のインタビューに対して、「介護人材は質的にも量的にも不足しているため、これまで公設、民間の養老施設におけるサービスの質が異なるなど様々な課題が存在していた。本条例の施行によって政府による具体的支援が期待できる」と述べた。
今後、省内各地の都市計画の策定に際しては高齢者施設の用地を優先的に確保することが求められる。同省では、従来から省内の各地方政府が都市計画を策定する際には、当該地域の人口 1 人当たり 0.1~0.3 平方メートルの高齢者施設の用地を確保するよう要求されていた。同条例の施行によって、新たな不動産開発に際しては、当該地域の人口 100 人当たり 20 平方メートル、既に建設されている住宅地域においても人口 100 人当たり 15 平方メートル以上の高齢者施設の設置が求められる。
また、高齢者施設等について、民政部門の指導に基づいて運営する必要があるとの条件が盛り込まれ、罰則事項が明記された。政府が出資する高齢者施設において、用途を無断で変更した場合、警告を受け、改善が見られない場合は、違法所得として没収され、政府に対して出資金を返納しなければならない。さらに、5 万元から 15 万元(1 元=約 17 円、約 85 万円~255 万円)の罰金(違反内容が深刻な場合は、15 万元から 30 万元)を科せられるほか、公共プロジェクトへの入札資格も抹消される。
さらに、入居契約の未締結、人員配置基準の未達、入居者に対する虐待、無断での入居契約の解除等の行為があった場合、民政部門から警告を受け、対応がない場合は 1 万元から 3 万元、重大な違反とみなされる場合は 3 万元から 10 万元までの罰金を科せられる。刑事責任を追及される可能性もある。
同条例では、「医養結合」、介護人材についても言及されているが、現時点では実施細則などが発表されておらず、引き続き情報収集が必要である。
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